- 乳がんの精密検査・診断
センチネルリンパ節生検とは?方法・合併症・適応・費用は?
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Contents
センチネルリンパ節とは?
乳がんは転移しやすい「がん」として知られています。
がんの転移は主に、がんの近くのリンパ液→リンパ節を通じてまず起こります。
乳がんが全身に広がるときに、一番初めに転移すると考えられている場所が
センチネルリンパ節と呼ばれるところです。
乳がんの場合は主に、乳がんがある側のわきの下のリンパ節
(腋窩リンパ節)のうちの一つがセンチネルリンパ節となります。
センチネルリンパ節生検とは?
センチネルリンパ節生検の目的
上記のように、センチネルリンパ節は
乳がんが一番初めに転移すると考えられる場所です。
だから、もしもセンチネルリンパ節に転移がなければ、
乳がんの転移はない、と考えられます。
そこで、センチネルリンパ節だけを取って調べて、
「転移がなければ、余計な手術はなくしてしまおう」という目的のために
センチネルリンパ節生検を行います。
センチネルリンパ節生検のメリット
乳がんの再発をなくす、という目的のためなら、
腋窩リンパ節をすべて取ってしまったほうが安全です。
しかし、腋窩リンパ節をすべて取ってしまうと、手術をした側の腕は
リンパ浮腫という、腕が腫れてしまう後遺症に悩まされる確率がたかくなります。
そのため、不要なリンパ節郭清(リンパ節を全部取る手術)を減らすために
考えられたのが、センチネルリンパ節生検です。
センチネルリンパ節生検の方法は?
では、どのような方法で、センチネルリンパ節を見つけるのでしょうか?
乳がんのある場所の近くに、薬液をうち、
薬液が一番はじめに流れ込むリンパ節をセンチネルリンパ節と考えます。
薬液は色のついた単純な色素を使う場合と
ラジオアイソトープと呼ばれる、薬自体が微量の放射線を出す薬液を使う場合、
両者の性質を併せ持つ薬液を使う場合とあります。
特に、ラジオアイソトープを用いた検査の場合は、設備が必要ですので、
受けられる医療施設が限られることがあります。
センチネルリンパ節生検の検査手順は
細かい点では施設ごとに異なることが現状です。
気になるところは、担当の医師に聞いてみましょう。
センチネルリンパ節生検の適応、不適応の基準は?
センチネルリンパ節生検の適応となるのは、
しこりが小さく、リンパ節転移の可能性が低い場合です。
明らかにリンパ節転移のあるものは、適応になりません。
それは、すでに第一関門であるセンチネルリンパ節を突破して、
他のリンパ節にも広がっている可能性が高いからです。
また、リンパ節転移が疑われる状態で、センチネルリンパ節の検査を行うと、
本来センチネルリンパ節でないものが、検査対象になったり、
誤診の原因となるので、行いません。
センチネルリンパ節生検を行う時期は?
乳房の手術を行うときに合わせて行われます。
検査単独で行われることはほとんどありませんが、
施設によって異なることがあります。
担当の先生にご確認くださいね。
センチネルリンパ節生検の合併症は?
検査に用いる色素で、まれですが、アレルギー反応を起こす場合があります。
検査に用いる放射性物質の放射線はごく微量で、
放射線の影響による副作用は、まずありません。
センチネルリンパ節生検後、まれにリンパ浮腫とよばれる腕の腫れや
しびれなどが起こることもあります。
しかし、腋窩リンパ節郭清術後に比べると、起こる確率は低いです。
センチネルリンパ節生検の費用は?
一回3万円なので、3割負担の場合は、9,000円になります。
手術等と同様に、退院時に入院中にかかった費用として払うことになります。
まとめ
センチネルリンパ節は、
転移しやすいガンである、乳がんの最初の転移場所と考えられているリンパ節のこと。
しこりが小さく、リンパ節転移の可能性が少ないと考えられる乳がんの場合、
センチネルリンパ節生検が、適応となります。
センチネルリンパ節が転移陰性であった場合、
腋窩リンパ節郭清を省略することができ、術後の合併症を減らすことができます。
ただし、センチネルリンパ節生検のみの場合でも、
合併症として、リンパ浮腫などが起こることもあり、
術後の生活には多少の注意が必要です。