- 乳がんの症状・基礎知識
乳がんと紛らわしい良性疾患:しこりや異常分泌のある病気
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乳房のしこりや乳頭からの分泌物のすべてが、
「乳がん」というわけではありません。
今回の記事は、乳がんと似た症状を示すけど、
「がん(悪性腫瘍)」ではない病気について解説しますね。
(例外として悪性葉状腫瘍が一部説明に含まれます)
なお、乳腺症の大部分と、乳腺炎、線維腺腫は
乳がんの発症とは関係ありません。
(注:乳がんが隠れていないかどうかの、検査は必要になることがあります)
Contents
乳腺症
症状は、乳房のしこりや痛み、乳頭からの分泌物があります。
この病気のしこりの本体は、良性の乳腺の増殖です。
乳腺症の原因・特徴
原因は女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)の分泌と
関係があるよう。
そのため、ホルモン分泌が増える生理前に、
腫れたり、痛んだりするのが特徴です。
また、両側性に起こることが多いです。
(乳がんの多くは片側のみ)
閉経後に問題となることはありません。
乳腺症の好発年齢
主な発症年齢は30歳~50歳。
乳腺症の治療
特に治療は必要ないのですが、痛みなどの症状が強い場合、
薬物療法を行うこともありますす。
乳腺症の問題点
問題点は、乳がんの発症年齢と症状が似ているため、
十分な検査で、乳がんが隠れている可能性を、否定することが必要です。
そのため、初めの検査の負担がやや大きくなったり、
定期的な経過観察が必要になることがあります。
一部、乳がんが発生しやすいと考えられている乳腺症もありますので、
経過観察は主治医の先生の指示に従ってくださいね。
乳腺線維腺腫
15~30歳代の若い人に多い病気です。
しこりを作り、乳がんとの鑑別が問題になります。
しこりは硬くて丸く、よく動くのが特徴です。
反対に、乳がんのしこりは動きにくいです。
大部分は乳腺エコー(超音波)検査で、診断がつきますが、
場合によっては生検などの精密検査を行うことがあります。
しこりが小さければ治療は必要ありませんが、
大きくなるようでしたら手術が必要になる場合もあります。
(以下の葉状腫瘍と鑑別が難しいことがあるので)
乳腺葉状腫瘍
乳腺線維腺腫とよく似ていますが、しこりをつくり、
しこりが急に大きくなることがあります。
基本的には良性ですが、悪性化するものも一部あるので、注意が必要です。
特に、急激に大きくなったりした場合は要注意。
悪性の可能性が高くなります。
また、良性でも、
腫瘍だけをくりぬく手術をした場合、
周囲に再発することが多いので、
手術では 正常な乳腺を含めて大きめに切除する必要があります。
なりやすい年齢は、10-70歳代と幅広いですが、最も好発する年齢は40代です。
乳管内乳頭腫
乳管の中にできる、良性の腫瘍(しこり)です。
しこり自体が小さいため、気づかれないことも多いのですが、
乳頭から血の混じった分泌物が出て、発見されるきっかけになります。
30歳代後半~40歳代前半の女性に多くみられます。
分泌物の細胞診や、乳管造影などが診断に必要となります。
乳腺炎
授乳期の女性がかかりやすい病気です。
授乳中に乳房がはれたり、痛んだりするほか、
発熱もしくは乳房が熱をもつことが多いです。
乳房が硬くなり、部分的に起こった場合は、しこりとして
感じられることがあります。
ただし、授乳期以外でも、なることはあります。
痛みがある場合は、ほぼ、良性の炎症と考えて、間違いありません。
適切な処置を行いましょう。
ただし、痛みがないのに、乳房が腫れ、熱を持っている場合は、
まれに炎症性乳がんといって、炎症症状を呈する乳がんであることがあります。
こんなときは、病院を早めに受診してくださいね。
乳腺嚢胞
乳腺症の一種で、嚢胞とは水のたまった袋のようなものです。
乳腺の中で水が溜まったり、
乳頭から細菌が侵入することで起こります。
しこりとして感じられたり、
マンモグラフィーでは腫瘤として描出されます。
超音波(エコー)検査で確定診断をすることができ、
注射器で水を吸い出すとしこりはなくなります。
できやすい時期は、生理前。
単純な嚢胞の場合は、経過観察も必要ありません。
まとめ
代表的な、良性の乳腺の病気をまとめました。
診断された時点で良性、と判断されても、
場合によっては、経過観察が必要な病気も含まれています。
担当の医師にご相談の上、
適切な診療を受けてくださいね。