- 乳がんの原因と予防
妊娠・出産の経験と乳がんの関係は?
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乳がん検診の問診で、必ず聞かれるのは、
「妊娠や出産経験はありますか?」という
質問です。
乳がんの発育の60-70%に関係する、女性ホルモン
(主にエストロゲン)は妊娠・出産とも大きな関係があるからです。
乳がんとの関係を見ていきましょう。
Contents
出産経験のない女性は乳がんリスクが高い
出産経験がない女性は、経験のある女性に比べて、
およそ1.2~1.7倍 乳がんになりやすいとされています。
これは海外のデータです。
日本のデータに限ると、2.2倍、リスクが高まる、と報告されています。
また、出産経験のある人の中でも、
出産回数が多いほど、リスクは下がる、とも報告されています。
5回以上の出産で乳がん発症リスクが半分になると言われていますが、
現在の日本では当てはまる人は少数派ですね・・・。
なぜ出産経験がないと、乳がんリスクは高まる?
こんな疑問が出てきますね。
まだ、ハッキリとは分かっていないようですが、
多くの乳がんの発育に関わる、
エストロゲンの影響を長く受けることになるからです。
妊娠中も、エストロゲンは必要なホルモンで、
非妊娠時に比べて、むしろ多く分泌されます。
これ以下は、まだ仮説の段階ですが、
しかし、妊娠中はエストロゲンに拮抗する、プロゲステロンも同時に
十分な量が分泌されます。
一方、通常の生理周期では、周期の半分に当たる、
月経期・増殖期と呼ばれる時期があります。
これは、エストロゲン単独が増える時期です。
この、エストロゲンが単独で増える時期が多いほど、
乳がんリスクは高まると考えられています。
そのため、妊娠・出産経験がなく、生理周期を多く繰り返す人のほうが、
乳がんリスクが高まる、というわけです。
出産経験あり、でも、初産年齢が高いとかえって高リスク
しかし、出産経験があっても、
初産の年齢が30歳以上の場合は、
出産経験がない人と比べて、乳がんリスクが高くなることが分かっています。
つまり、乳がんのリスクに限って、出産を捉えてみると
と、右になるほど、乳がんのリスクが高くなることになります。
初産が30歳以上、でも、多産、の場合はどこ?と言われると、
そこまでは分かっていない、というのが現状です。
出産が影響する乳がんの種類は?
今までは、乳がん全般と、出産経験に関して書きましたが、
乳がんにもいろいろな種類があります。
最近の研究で、上記のような出産や初産年齢が関係する乳がんは、
乳がんの中でも「ホルモン受容体陽性の乳がん」
であることが分かってきました。
つまり、エストロゲンなどのホルモンの影響を受けにくい、
ホルモン受容体が陰性の「がん」の場合は、
出産歴等は、その発生に関係ない、ということです。
まとめ
乳がんの中でも、60-70%をしめる、「ホルモン受容体陽性の乳がん」は
出産経験がないことや、初産年齢が30歳以上であることが、
乳がんリスクとなる、ということが分かっています。
ただし、出産経験がある人、初産年齢が低い人、
出産回数が多い人が乳がんにならない、ということではありません。
また、出産経験がない人や、初産年齢が30歳以上である人が
必ず乳がんになる、というわけでもありません。
リスクを念頭に置きながらも、自己検診、定期的な検診を行い、
おかしいなと思ったら、早めに受診してくださいね。