- 乳がんの原因と予防
乳がんと遺伝、家族歴(母、姉妹など)の関係は?
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乳がんって、血のつながった、母や姉妹、おばさんなどがかかっていたら、乳がんになりやすいって聞いたことがありませんか?
乳がんの問診では必ず、家族歴があるかどうか聞かれます。
乳がんと遺伝の関係ってどの程度のものでしょうか?
Contents
遺伝性乳がんは乳がん全体の5~10%程度
「ある特定の遺伝子を持っているから、乳がんになる可能性が高い!!」という、
遺伝性の乳がんは乳がん全体からすると、意外と少ない、ということが分かります。
多く見積もって、乳がん患者の中の10人~20人に1人が、遺伝に関係ある程度なのですね。
でも、家系的に乳がんになりやすい、ということはありますよね。
遺伝でないなら、どのようなことが影響しているのでしょうか?
乳がんの発症には食生活などの生活習慣が重要
日本で乳がんが増えてきた背景には、食生活をはじめとする、生活習慣の変化が大きく影響しています。
具体的には、肥満になりやすい食生活や、多量のアルコールを飲む習慣、タバコを吸う習慣、運動習慣がない などが、あげられます。
遺伝性の乳がんではないのに、家系的に乳がんが多い、という場合、家族単位で食生活など、似た生活習慣で暮らしている、ということの影響が考えられます。
母や祖母が乳がんだから、必ず乳がんになるわけでない!!
「乳がん家系だから、私もなるかも・・・」という思いは、乳がんになる可能性を高めているかもしれません。
「思い」の強さは体に強く影響します。
有名なところでは、薬の効き具合に影響を与える、「プラシーボ効果」。
良く効く薬だと、患者さんが心の底から信じた場合、
「単なるお砂糖」でも「病気が治ってしまう!!」ということが
実際に研究で証明されています。
つまり、逆もありえます。
無用な不安はしっかり解消しましょう。
遺伝性乳がんを疑う特徴って何?
では、遺伝性乳がんは、どのように遺伝性と分かるのでしょうか?
最終的には遺伝子検査を行うことで、分かります。
ただし、すべての人に遺伝子検査を行うわけではありません。
遺伝性乳がんの方には、遺伝性を疑ういろいろな特徴があるので、それらが当てはまる場合は、さらに詳しい検査を行うことになります。
遺伝性乳がんを疑う特徴は以下のとおり
・トリプルネガティブ乳がん(ER陰性、PgR陰性、HER2陰性)
・同じ患者さんで二つの原発性乳がん
・本人の乳がん発症年齢に関係なく、以下の近親者(第1~3度近親者)がいる場合
①50歳以下で乳がんになった近親者が1人以上
②上皮性卵巣がんになった近親者が一人以上
③乳がんや膵癌などの近親者が2人以上など
(参照:患者さんのための乳癌診療ガイドライン2014年版、金原出版)
遺伝性乳がんであることを知るメリットは?
では、遺伝性乳がんの可能性があることを知ることは、どのように役にたつのでしょうか?
ご本人さんを含めたご家族、ご親戚の方は、どのような病気に注意をして、重点的に健康診断などを受けたら良いかが、分かるようになります。
医療側は、その情報を得ることで、遺伝性の場合に注意するそのほかの病気にも十分気を配りながら、診療を行うことが出来るようになります。
遺伝性乳がんに関係ある遺伝子として、現在良く知られているのは、BRCA1、BRCA2遺伝子で、これらの遺伝子に変異があると、乳がんや卵巣がんになりやすいことが知られています。
数年前、女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが、予防のために乳房切除、卵巣・卵管切除を行い、話題になりましたね。
遺伝性乳がんの家系だからと言って必ず発病するわけではない
ただし、注意は必要ですが、この遺伝子を持っているからといって、「必ず発病する」、と決まっているわけではありません。
だからこそ、アンジェリーナ・ジョリーさんが予防切除をされたときに、賛否両論があちこちで聞かれたわけです。
上でも書きましたが、逆プラシーボ効果とならないよう、心の持ちようにも、気を付けましょうね。
まとめ
乳がんの方で、遺伝が関係しているものは、5~10%程度。
食生活や、アルコール習慣、喫煙習慣、運動習慣など、よく似た生活を行っていることが、血縁者に乳がんが多くなっている原因にもなっています。
遺伝性乳がんの場合は、卵巣の病気などの危険性もあります。心当たりのある方は、病院で相談の上、詳しい検査も検討しましょう。