- 治療法について
乳がん全摘手術(乳房切除術)って?切除範囲、再建との関係は?
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乳がんのとき、行われる手術は大きく、
乳房切除術(全摘術)と乳房部分切除術の二つに分かれます。
今回の記事ではいわゆる全摘術と呼ばれる、乳房切除術についてお伝えしますね。
両者の手術法のだいたいの違いや
手術方法を選択するときに知っておきたいことについては
こちらの記事も参照くださいね。⇒☆
Contents
乳房切除術(全摘手術)
乳がんの手術は歴史的にいろいろな変化がありますが、
現段階では、乳房切除術(全摘手術)は、胸筋を温存した手術がほとんどです。
切除範囲は
腫瘍(しこり)を含んだ乳腺全部、
乳頭、皮膚の一部が含まれます。
手術法によっては乳頭を残す場合があります。
乳房切除術(全摘手術)が適応となるのは?
全摘手術を選択する主な理由は以下の通り。
・腫瘍自体が大きい・乳房の広い範囲に腫瘍がある。
・乳房内に複数の腫瘍が散らばっている(多発乳がん)
・腫瘍自体は小さいが、乳頭直下に位置している
・温存術の適応があるが、術後の放射線治療が受けられない
・患者本人が全摘術を希望
・乳房再建術を希望しているが、遺伝的や家族的な素因のために、再発しやすいことが予想される。
さまざまな理由がありますね。
上を見ればわかりますが、
全摘術を選択する理由は、主に2つにまとめられます。
乳がんの広がりや位置の関係で全摘術になる場合。
乳がん手術の目的は「乳がんを過不足なく取りのぞき、治療すること」が第一目的なので、やむを得ません。
温存術を希望される気持ちは分かりますが、以下に述べる再建術のことも、少し読んでみてくださいね。
では、乳がんの広がり以外の理由で乳房切除術を選ぶことについて、見ていきましょう。
再建術をみすえての乳房切除術
乳房部分切除術が可能な場合でも、乳がんの場所や大きさによって、残存乳房が大きくゆがんだり、健康な乳房との差が大きかったりする場合があります。
乳房術後に再建術を行う場合、
乳房全体を切除して、再建することで、きれいな乳房ができるようになりました。
そのため、手術後の生活を良くイメージして、乳房の形に重きを置く人には、乳がんの広がりに関係なく、乳房切除術を選択する人も増えてきています。
遺伝的・家族的理由での乳房切除術
遺伝的に乳がんになりやすい方の場合、乳房温存術を選んだ場合、残った乳房に新たな乳がんができやすい傾向があります。
そのため、遺伝的な要素が考えられる方の場合は、乳がんの大きさ・広がりに関係なく、乳房切除術が勧められることがあります。
放射線治療が受けられない方、いやな方
乳房温存術後には、残っている乳腺にがんの再発を防ぐため、放射線治療が必須です。
そのため、放射線治療が受けられない方は切除術を選ぶことになります。
「放射線治療が受けられないとは、どういう場合?」について、
詳しくはこちらの記事をどうぞ⇒☆
乳房切除術のメリット・デメリット
メリットは
・局所再発の可能性が小さくなること
・放射線治療がほとんど必要ない
(放射線治療のため、通院する必要などはない)
デメリットは
・乳房がなくなる
・再建によって自然に近い乳房もできるようになったが、手術を複数回受ける、お金がかかるなどの点もあり。
乳房切除術の実際
それでは、乳房切除術を受ける場合、どのようなものになるか、見ていきましょう。
麻酔の方法、手術時間は?
全身麻酔で手術は行われ、約2-3時間かかります。
わきの下のリンパ節を出来るだけ残す、センチネルリンパ節生検を同時に行うことが普通です。
手術後はドレーンという細い管を、手術した場所に入れて置き、手術後の血液やリンパ液を体外に出します。
ドレーンが抜けるようになったら、退院できます。
再建術のために乳頭、皮膚を残すこともあり
再建術を希望する場合は、かならず、手術の前に主治医に再建術を行いたいという希望を伝えます。
個々の乳がんの状態にもよりますが、乳頭や皮膚を残すことができることもあります。
よく、主治医と相談し、どのように手術をしてもらうか、その後の再建術につなげていくか、を決めていってくださいね。
乳房切除術の費用(3割負担の場合)
一週間の入院で約20万円程度
ただし、入院の差額ベッド代などは別になります。
まとめ
乳房切除術につてまとめました。
特に、手術選択の際に気を付けたいことに重きを置いています。
主治医、看護師、手術を経験後の先輩の患者さんなど、いろいろな方と話をして、ご自分の場合はどうするか、よく考えてくださいね。